深夜も早朝も止まらない運行体制
年中無休、24時間。芙蓉交通株式会社の運行は、暦の上の休みを持たない。電話での問い合わせ受付は10時から20時に区切っているが、配車そのものは昼夜を分けず稼働し続けている。横須賀市内川を拠点に、京浜交通圏を営業区域として市内全域へ車を走らせる。総車両数は43台。この台数で切れ目のない運行を維持している運行管理の緻密さが、取材を通して一番の発見だった。
公共交通が届かない時間帯こそ、この会社の出番になる。終バスの後、始発より前、そうした空白を乗用車が埋めていく。
用途で選べる多彩なサービスメニュー
芙蓉交通株式会社が用意する乗り方は一様ではない。観光タクシーは三浦半島を巡りたい客に向き、羽田・成田への定額タクシーは料金の見通しが立つ空港移動として機能する。スマホ配車を使えば手元のアプリから車を呼べ、便利タクシーやセダンタイプといった選択肢もそろう。
地元宿泊施設とのタイアップ配車も手がけており、旅先での足の確保に一役買っている。日常の買い物や飲み会帰りといった生活の移動から、遠方への確実な移動まで、目的に応じて手段を選べる幅の広さがこの会社の持ち味だ。取材の場で、生活利用と観光利用の両輪をここまで自然に回している地方タクシーは珍しいと感じた。
誰も取りこぼさない乗車環境への準備
車いすのまま乗り込める『福祉用シエンタ』を導入している点に、芙蓉交通株式会社の姿勢が表れている。新人ドライバーはユニバーサルドライバー(UD)講習を修了してから乗務に就く。困っている客が現れてから対応を考えるのではなく、受け皿を先に整えておく。その順序に使命感がにじむ。
在籍ドライバーは20代から70代までと年齢の幅が広く、他業種からの転職組も数多い。2026年にはドライバー数が100名到達を目前に控える。人の厚みと車両の準備の両面から、横須賀の移動を絶やさず支える構えができている。


