建物の内側を支える、多品種オーダー生産の現場
内装用積層材、単板貼集成材、ラッピング造作材、造作用芯材、オーダー家具——株式会社垣本ハウスが扱う製品カテゴリーを並べると、建物の内部空間を構成する木材のほぼ全域をカバーしていることがわかる。生産のほとんどが受注生産で、届ける先は個人宅から商業施設、学校まで多岐にわたる。パイン、タモ、ゴムなど樹種の選択肢も複数あり、用途ごとに素材を使い分けることで、カウンターや階段材、フローリングといった部位の仕様に応じた製品が仕上がる。
「融通が利く」という印象を持つ発注側の関係者は多いという。NC加工機を用いた特殊形状への対応が可能なため、通常の発注では断られるような依頼も受け付けてもらえると、設計関係者からの声が目立つ。オーダーの形が毎回異なる現場に向き合い続けてきた蓄積が、そのまま株式会社垣本ハウスの対応力になっている。
直輸入と一貫加工が支える、コスト競争力の源泉
造作用芯材で使用するブラジル産タエダパインとチリ産ラジアタパインは、現地メーカー数社からの直輸入によって調達している。中間流通を経ないことで安価な供給が実現しており、「他社より価格が出しやすい」という声が建設現場関係者から聞かれる。節がなく軽量なこの素材は窓枠やドア枠の下地として扱いやすく、現場での作業効率にも直結する特性が選ばれ続ける理由になっている。
ラッピング造作材では原材料調達から基材生産、オレフィンシートによる表面加工まで全工程を自社内で完結させる。この体制を持つメーカーは全国的にも少数で、仕様変更や納期の調整が生じた際の対応速度が、他社との差になっていると担当者は話す。正直、取材を通じてこの一貫体制の希少性を改めて実感した。
吉野材の製材所から続く、素材選びの哲学
昭和23年の創立以来、株式会社垣本ハウスは奈良の木材と向き合ってきた。吉野材の製材所として出発し、家具製造や家づくり関連へと事業を広げながら、奈良県産ヒノキを活用した集成材の調達・製造・販売を軸に据えてきた。集成材の芯材には強度と寸法安定性に優れた素材を、化粧面には天然木突板を組み合わせるという構成は、強さと見た目の両立を求める現場の声に応えたものだ。
橿原市の本社・工場を起点に、県内では第二・第三工場を稼働させ、東京都江戸川区にも営業所を設けている。「奈良から世界基準の木材を届ける」という理念は掲げるだけでなく、国際市場への進出という形で動き出しており、多国籍スタッフが在籍する現場の構成もその方向性を反映している。
未経験者が育つ、資格取得支援と現場主義の教育体制
入社後はフォークリフトをはじめとした業務に必要な資格の取得を会社がサポートし、担当できる工程が徐々に広がる仕組みになっている。機械操作は扱いやすいものから覚えていくOJT方式で、木材加工の専門知識がなくても製造ラインに入れる体制が整っている。年齢・国籍を問わず採用しており、多様なバックグラウンドを持つスタッフが同じ現場で技術を磨いている。
「何でも気軽に相談できる」という職場の雰囲気は、入社後スタッフから繰り返し聞かれる言葉だ。地元出身スタッフが多く在籍し、アットホームな環境が新しいメンバーの早期定着を後押ししているようで、長期就労を前提にした正社員採用と福利厚生の整備が、安定した働き方を支えている。


