三代にわたる地域工務店の歩みと対応領域
佐久市で三代続く髙野建築は、注文住宅の新築からリフォーム、部分的な修繕工事まで住まいに関わる依頼を幅広く受けている。間取りの変更や断熱・耐震補強、キッチン・水回りの刷新といった生活の変化に応じた工事にも対応しており、全面改修から小規模な補修まで相談の間口が広い。設計事務所を併設しているため、図面の作成から施工・管理までを社内で完結させる体制が整っている。情報の行き違いが起きにくく、工期や仕上がりに関するトラブルを未然に防ぎやすい構造になっている。
地元の管理会社や不動産業者からのリピート依頼も少なくないという声が目立つ。長年この地域で工事を続けてきた蓄積が、紹介を通じた新規の相談につながっているようだ。個人的には、設計と施工の距離が近いことで生まれるスピード感が印象的だった。設計士と現場の職人が日常的に顔を合わせる環境は、大手ハウスメーカーとは異なるテンポで家づくりが進む要因になっている。
自社工房から生まれるオーダー家具と建具
髙野建築の敷地内には木工加工用の機械設備を複数備えた工房があり、設計図に描いた造作家具や建具をそのまま自社で製作できる。熟練の職人が手仕事と機械加工を使い分けることで、曲線や複雑な接合部にも精度の高い仕上げを施す。収納計画や生活動線に合わせたサイズ・形状の家具が空間にぴたりと収まり、既製品を後から置くのとは根本的に異なる一体感が出る。建具も特注寸法で製作しており、古い住宅の規格外の開口部にも違和感なく納まる。
たとえば築40年以上の住宅で建具を入れ替える場合、既製品では寸法が合わず隙間や段差が残ることがある。髙野建築では現場で採寸した数値をもとに工房で一枚ずつ加工するため、既存の柱や鴨居との取り合いも自然に仕上がる。家具と建具を同じ工房内で同時期に製作することで、木の色味や質感の統一も図りやすい。完成後に「ここだけ浮いている」という違和感が残りにくい点は、自社工房を持つ工務店ならではの利点だろう。
無垢材と地域材を活かした空間のつくり方
地域で産出された木材や無垢材を積極的に取り入れる方針を、髙野建築は設計の初期段階から組み込んでいる。素材そのものの木目や色合いを活かすことで、経年とともに表情が変化する住空間が生まれる。無垢材の建具は使い込むほどに手触りが滑らかになり、年月を経ても飽きが来にくい。新建材にはない温度感が室内にあると、日々の暮らしの質感が変わるという利用者の声もある。
髙野建築が手がけた住宅では、リビングの床にカラマツの無垢板を採用した事例がある。施主が素足で過ごすことを前提に、塗装の種類や板の厚みを細かく調整したという。夏場のさらりとした肌触りと冬場の冷たさの軽減を両立させるため、下地の断熱構造にも工夫を加えている。こうした素材選びと施工技術の組み合わせが、住み始めてからの満足度に直結する部分だと感じる利用者も多い。
半規格住宅と3DCGで進める家づくりの流れ
髙野建築では半規格住宅の仕組みを用意しており、ベースとなるプランに施主の要望を重ねていく手法でコストと自由度のバランスをとっている。ゼロから設計する完全自由設計と比べて設計期間が短縮されるため、打ち合わせから着工までのスケジュールが組みやすい。3DCGを使った完成イメージの共有も取り入れており、図面だけでは把握しづらい空間の広がりや光の入り方を事前に確認できる。この仕組みによって「思っていたのと違う」という施工後のギャップが起きにくくなっている。
打ち合わせの初回では、間取りや予算だけでなく家族構成や将来の生活変化についても丁寧にヒアリングする流れがある。子どもの成長に合わせて部屋を分割できる設計や、将来的にバリアフリー化しやすい動線計画など、5年後・10年後を見据えた提案が含まれる点は注目に値する。半規格住宅でありながら無垢材の建具や造作家具を組み合わせられるため、コストを抑えつつ個性を反映した住まいが佐久市で実現している。


