鉄筋の加工・組立・販売を一手に担う事業構造
鉄筋組立一式、鉄筋加工、そして材料販売——この3領域を自社で手がけている建設会社は、関東でもそう多くない。海野鉄筋工業株式会社は1977年に茨城県石岡市で設立され、以来45年以上にわたって鉄筋工事の各工程を社内で完結させる体制を維持してきた。工事の入口から出口までを一社で管理するため、工程間の情報ロスが生まれにくく、納期や仕様の変更にも素早く動ける。施工エリアは茨城県内にとどまらず、関東全域のプロジェクトに対応している。
個人的には、加工と施工と材料供給を同じ会社がまとめている点がもっとも印象的だった。発注元からすれば窓口がひとつで済むため、やり取りの手間が減るという声が目立つ。資材の在庫状況と現場の進捗を社内で共有できるので、急な数量変更にも対応しやすい。こうした構造が、長期にわたる取引先との関係維持につながっているようだ。
自社工場が支える加工精度と納品スピード
石岡市内の自社工場では、現場ごとの図面に合わせた鉄筋加工を行っている。既製品の流用ではなく案件単位で加工するため、寸法精度のばらつきが抑えられる。工場から関東圏内の現場へ直接搬入する流れを組んでおり、中間業者を挟まない分、輸送コストや待ち時間の圧縮にも効いている。加工と搬入のタイミングを現場の工程表に合わせて調整する運用が定着済みだ。
実際の現場では、鉄筋が予定日に届かず工期が押されるケースが業界全体で珍しくない。海野鉄筋工業株式会社の場合、加工スケジュールを自社内でコントロールできるため、搬入遅延のリスクを大幅に低減している。各工程で品質チェックを挟む仕組みも敷かれており、不良品が現場に届いてから発覚するといった手戻りを防いでいる。営業時間は8:00から17:00で、建設現場の朝型スケジュールに合わせた対応が可能だ。
未経験者を現場で育てる段階的な指導の仕組み
鉄筋工事は経験がものをいう職種だが、海野鉄筋工業株式会社では未経験からの入社者にも門戸を開いている。工場での加工作業から入り、基本的な工具の扱いや鉄筋の種類・規格を覚えた段階で現場作業へとステップアップする流れを採用。先輩職人がマンツーマンに近い形で指導にあたるため、座学だけでは身につかない感覚的な技術も習得しやすい。正社員雇用を前提とした長期的な育成方針のもと、加工から組立まで複数の工程を経験できる環境が整っている。
「最初は工場で鉄筋を触ることから始めたが、数か月で現場に出られるようになった」という声もあるようだ。建設業界全体で若手の人手不足が続くなか、未経験者が段階を踏んで一人前になれるルートを社内に持っている点は採用面でも強い。チーム単位で作業を進める現場が多く、ひとりで放置される心配がないことも、定着率に寄与していると思われる。
関東全域をカバーする広域対応と地元密着の両立
茨城県石岡市を本拠地としながら、東京・千葉・埼玉・神奈川・栃木・群馬と関東一円にサービス範囲を広げている。地方拠点の会社が広域案件を受注し続けるには、移動効率と品質維持の両立が欠かせない。海野鉄筋工業株式会社は自社工場での加工と現場施工を直結させることで、遠方の案件でも品質基準を落とさず対応する体制を築いてきた。45年以上の業歴のなかで、公共工事から民間建築まで多様なプロジェクトを経験している。
地元・石岡市周辺では複数の建設会社と継続的な取引関係が続いており、リピート受注の割合が高いと感じる利用者も多い。広域対応によって景気変動の影響を分散しつつ、地場の案件で安定した�kind受注を確保するという二本立ての営業構造が、事業基盤を支えている。鉄筋の調達から加工・施工・材料販売まで社内で回せる体制は、発注者側の選択肢を増やす要因にもなっている。


